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生徒会室 副会長

2015/08/04 (Tue) 00:09:46


毎年この時期になると思い出すことがある。
俺が高校二年生の時の話だ。

その年の九月、文化祭の前日のことだ。
当時生徒会役員だった俺は下校時刻ギリギリまで作業する一般生徒を先生と協力して帰宅させたのち、パンフレットの修正作業に取り掛かった。
人名の漢字変換ミスだったと思う。修正する紙を印刷して挟み込む作業を黙々とこなしていく。
役員は全部で二十人近くいたが、バイトや部活に行ってしまい、その日に残って作業していたのは俺を含めて七人しかいなかった。
開会式の会場設営もしなければならなかったため、人手が足りない。
結局、全部の作業が終了したのは午後八時を過ぎた頃だったと思う。

会長が皆を集めて解散を宣言しようとしたとき、問題が発生した。
文化祭本番に販売する備品(ガムテープ、のり等)が発注されていないことが分かったのだ。
これらは文化祭中でも出し物の補修が出来るようにと、文化祭期間中に生徒会が学内販売することになっているもので、すでに告知済み。
そのため、ほとんどの参加団体はその用意がない。
ご贔屓の文具屋はもう閉まっているし、備品の在庫が大量にありそうな大型店舗もない。
迷った挙句、会長の指示で役員が手分けして近くのコンビニから買い集めることになった。

四人が買い出し、三人は残って生徒会室の片づけと備品販売所の設置。
俺は残り組だった。
残ったのは俺と二年生のM、三年生の先輩の三人である。
備品販売所の設置は長机二個とパイプ椅子六脚を生徒会室前に設置するたけなので、すぐに終わる。
片づけも三人もいれば十分かからずに終わった。

手持無沙汰になった俺たちは特に何をするでもなく、椅子に座ってお喋りに花を咲かせた。
話の内容はよく覚えていない。本当に意味のない会話だったと思う。
そして、ここからが問題だ。

コンコンコンと三回、生徒会室がノックされた。
聞き間違いなどではない。三人ともしっかり聞いているのだから。
俺はてっきり買い出し班が戻って来たのだと思って、短い返事を返し、ドアを開けようと立ち上がった。
少し歩いてドアに手をかける。
その時だ。強烈な違和感を覚えた。
あの瞬間の俺にはその正体が分からなかったが、今ならわかる。

買い出し班がこんなに早く帰ってくるはずがない。
生徒会の役員が生徒会室をノックをする必要はない。

無意識にそれらを理解していた自分の頭が警鐘を鳴らしてくれていたのだ。
しかし、馬鹿だった俺はそれを無視してドアを開けてしまった。
ドアの向こうには誰もいなかった。

「なんだ。いたずらか?」

Mが室内から茶化してくる。
俺は一歩だけ廊下に出て左右を見渡すも、そこには廊下が続いているだけだった。
廊下に並ぶ教室は全て夜間施錠されている。姿を隠すには十メートル以上離れた階段まで行くしかない。
ノックされてから俺がドアを開けるまではほんの数秒。全力で走らなければ間に合わない。
しかし、誰かが走り去るような音はしなかった。

「みたいだな。逃げられちまった」

俺はそっとドアを閉じる。
MとFに向けて話しかけつつ、ドアに背を向けて一歩踏み出した時。
コンコンコン、と再びドアがノックされた。
俺は反射的に振り返り、ドアを勢いよく開けた。今度こそ隠れる暇などない。
やはりそこには誰もいない。

「おい、誰だ。いたずらしてるのは!」

声を張りつつ、廊下に一歩踏み出し、左右を見渡す。
見渡した廊下に人影はなく、走り去るような足音もしない。

「また逃げられたか」

苦笑交じりにMがまた茶化す。

「おい、M。おかしいと思わないのか」

「何が?」

「誰もいないんだぞ! 確かにノックの音は聞こえたのに!」

「隣の教室にでも隠れてるんだろ」

「教室は先生が全部施錠しただろ! 階段までは十メートル以上ある! 一瞬でどこに隠れられるんだ!」

「あっ……」

Mはそういえばそうだったと言いたげな表情になった。
一連のやりとりを聞いていた先輩が立ち上がる。

「どうもまだ生徒が残ってるみたい。私は先生のところにいくから、二人は上の階から順に見回りをしてきてね」

先輩はそう言い残すと、携帯電話を片手に生徒会室を後にした。
残された俺とMは先輩の指示通りに最上階の五階から全教室とトイレを確認して回った。
途中で一階から見回りをしてきた先輩と先生に合流した。
校舎内には俺たち以外には誰もいなかった。

校舎内の見回りが終わると、先生を含めた俺たち四人は生徒会室に戻った。
買い出し班が戻ったのはこの二十分後のことで、全員が合流してから会長の簡単な挨拶で解散した。
結局、ノックの件は俺たち三人の聞き間違いということになった。

文化祭は事前の準備のかいあってか、大きな問題なく終了した。
振替休日や後片付けなどが全て終わり、文化祭の空気もなくなり始めた放課後、俺とMは先輩によばれて生徒会室に居た。
先輩はどこか疲れているように見えた。

「迷ったけど、二人にはちゃんと話しておくね」

先輩はそう切り出した。
先輩の長い話の要点をまとめるとこうなる。

この高校の生徒会にはちょっとした曰くがある。
まだ学生運動が盛んだった頃、当時の生徒会長がとある過激派団体に生徒会予算を流したことがある。
所詮は高校生のやることなので、生徒会費で購入した備品を販売して、売上金を渡すシンプルなものだ。
この横領はしばらくはうまくいった。
しかし、備品の購入量の多さに不信感を持った当時の会計長が購入数と在庫数を照らし合わせたところ、横領はすぐに発覚した。
過激派団体からの感謝状が生徒会長に送られていることも会長の妹の証言で判明し、横領は確実なものとなった。
この会計長は非常にまじめな人間であったため、これを黙っていられなかった。
役員会議の場で独自調査の結果を会長に突き付け、説明を要求したのだ。
会長は何も言わず、無言のまま席を立って生徒会室を去った。その後、彼は高校を辞めて姿を眩ませたらしい。

「その生徒会長さん、先月亡くなったの」

先輩はそう言って一息ついた。
俺とMはあまりのことに唖然としていた。

「当時の会長、姿を眩ませたあとも副会長だった人とだけは連絡を取っていたのよ。二人は親友だったから。で、その当時の副会長が私の父」

「あの、もしかして……」

Mが不安げに先輩に尋ねる。
俺もMが何を言いたいのか分かった。

「うん。たぶんだけど、戻ってきちゃったんだと思う。自分の思い出の中の場所に」

「……」

「生徒会長さん、思想に染まる前はとっても良い人だったらしいの。だから、今は自分の居場所じゃない生徒会室に入りたくて、丁寧にノックしたんじゃないかな」

「……」

「……今もいるんですかね。その人は」

俺はなんとなくそんなことを聞いてみる。
そんなこと、先輩にも分かるわけないのに。

「多分、いるんじゃないかな。わからないけど」

先輩は笑って、この話はこれで終わり、他言は無用だよ。
と何度も念押ししてから俺たちを帰宅させた。



その後、俺が卒業するまでの一年間、生徒会室で奇妙なことが続いた。
備品がなくならないのだ。
しっかりと管理していても、ペンやハサミなどの小物はなくなってしまうものだが、少なくとも俺がいる間にそういったことはなかった。
時には机の下から、時にはロッカーの中から紛失した備品は必ず見つかった。
俺もMもその原因に検討がついたが、他の役員はそうではなかった。気味悪がる者もいたのは事実だ。
だが、特に害がない以上はいいだろうとする雰囲気が出来上がり、次第に気味悪がる者はいなくなった。


これが俺の経験した奇妙な体験の全てだ。
去年の秋に文化祭に行き、現役の生徒会役員と話してみたが、どうにもこの現象は今はもう起こっていないらしい。

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