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夏の盛りにフライフィッシングに出かけた - 北東北
2018/06/02 (Sat) 16:12:28
北東北のある人が、夏の盛りにフライフィッシングに出かけた。
ある程度釣り歩くと、すっかり日も暮れて川に夜が来た。
それでもその日は結構パタパタと魚信があったので、意地悪く釣り歩いてると、
急に川が開けて、いかにも釣れそうな場所が現れた。
今日の最後はここで締めくくろうと竿を振ると、突然ブワーッとホタルが舞い始めた。
ホタルはまるで川面から湧き出すように飛び回り、川は幻想的な雰囲気に包まれた。
こんな量のホタルは珍しいなと思った途端、川から人の声が聞こえてきたという。
最初は気をつけてないと聞き取れないほどの声量だったのだけれど、
徐々にその声は大きくなって、だんだんと内容が聞き取れるようになった。
集中して訊いていると、どうやらその声は、
このあたりで小さな女の子が行方不明になり、その子をこれから近隣住民総出で探しに出かける、
というような内容の話だったそうだ。
その時点でだいぶ怖かったのだけど、怖さよりも好奇心が勝って、竿を振りながらつい聞いてしまったそうだ。
その声は本当に、テレビドラマを音声だけで聞いているような感じだったそうで、
その娘の母親と思われる女性の声や、捜索を依頼された村人の声というように、はっきり聞き分けが出来たそうだ。
そのうち、その声が佳境に入り、村人の声が「最後にここを探そう」というようなことを言った。
この時点ではもう既に、今まさに見えない捜索活動が目の前で行われているというような感じに聞こえたという。
本当に、何かの記録映像を見せられているかのように、音声だけが川面から聞こえ続けていたのだとか。
あまりにもリアルな会話がなにもない川面から聞こえてくるので、その人はとうとう怖くなり、
「どうしたんですか! 誰かいるんですか! 誰かがいなくなったんですか!」と川面に怒鳴った。
その途端、
ああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
という、聞くに堪えないような女の悲鳴が聞こえたという。